人は本来、コミュニティに帰属したいという欲求をもっている。
マンションに住むメリットとしてよく言われていることに「カギ一つで出入りできて便利」、「室外の清掃や植栽の手入れなど、面倒なことがない」、そして「隣り近所とのお付き合いなど、わずらわしい人間関係を気にしなくて済む」等々があります。なるほど、一戸建てに比べてマンションは面倒も手間もなく便利といえます。しかし、「わずらわしい人間関係」というのはいかがなものでしょうか。
社会学的には、人は本来、何かしらのコミュニティに帰属したいという欲求を持っているといわれます。これは「群れ」を作る動物に共通した心理であり、人間もまた、一人きりでは生存できず、群れの一員であることで安心感を得ているのです。例えば学校や会社、趣味のサークルなど何らかのコミュニティに属している事が必要なのです。その最も基本的単位が家族です。
「共同住宅」であるマンションは大勢の世帯が一つ屋根の下で暮らすコミュニティ。「わずらわしい」などと言わず、「適度な人間関係」を築き、良きコミュニティを育成することで、暮らしやすい快適な住環境になります。さらに、住人たちの連携が良い、活気のあるマンションはそれ自体が評価の対象となり、資産価値も高くなります。よりよい人間関係を保つことが、資産価値を高めることにもなるのです。
■コミュニティが充実していると、こんなメリットがある
朝、我が家を出て、夜に帰宅する毎日。同じマンションに住む人とは滅多に顔を合わせないし、そもそも隣の住戸に住む人の名前も顔もよく知らない…。そんな方も多いと思います。確かに平常時には、このような毎日でも、生活には支障は特に生じないでしょう。
しかし、災害など非常時や事故や事件の発生時など、コミュニティがしっかり形成されていると、心強いものがあります。例えば2011年3月11日の東日本大震災では、首都圏でも多くの建物で被害が発生したり、多くの帰宅難民が発生しました。家族の安否を気遣う経験をされた方も多かったと思いますが、こういった場合でも「うちのマンションなら、住民同士の協力関係があるから大丈夫」といったことがあれば大きな安心材料となります。母親が帰宅できず、子供を保育園に迎えに行けずに心配していたが、隣戸の住人が預かっていてくれた…といった実話もあります。日ごろからコミュニティが形成され、人間関係ができていればこそでしょう。
震災などに備えて、住人間の連絡簿を作成しているマンションもあります。タワーマンションなど大規模な建物の場合は、階ごとに連絡担当者を設けて、万一の災害や犯罪などに組織的に対応しているケースもあります。いずれにしても、非常時に備えて、安否が確認できるなど近隣の住民同士のコミュニケーションが確保されていると、安心といえます。
非常時だけではありません。コミュニティが充実したマンションでは、高齢者や障がいのある人など社会的弱者を支えられる態勢も生まれやすいといえます。こうしたマンションでは、住人のルールを守る意識やマナーが高く、それ自体、資産価値ともなります。良好なコミュニティを築くことは住む人の利益に直結するのだといえますね。
続きを読む→
|