5. 優先順位4位の基準 経済性 「将来、貸しやすいか、売りやすいか」
シングル・カップルはこの先、結婚や出産を控えており、ライフステージが変化する可能性があります。家族構成や暮らし方が変わると、これまで住んでいたマンションでは手狭になったり、周辺環境が合わなくなったりして、住み替えが必要となります。
その際に自宅マンションを「売るべきか、貸すべきか」は、避けて通れない問題となります。したがって、マンションを買う時点で将来を見据えて、なるべく貸しやすい、売りやすいエリアと物件を選ぶ、という基準が重要となってくるのです。
極端な言い方ではありますが、マンションの共用施設や間取りなどよりも、貸しやすさ、売りやすさを優先したほうが、賢明かもしれません。
また売りやすさと貸しやすさでは、貸しやすさを重視したほうが良いと考えます。
マンションの価格と賃料を比較すると、価格は大幅に跳ね上がることもあるし、大幅に暴落することもあります。住むために買ったマンションですから、値上がり益を期待してタイムイングよく他のマンションへ住み替えることは、投資家ではない素人には難しいものです。さらに、一度買ったマンションは築10年もすると一般的には、買ったときの価格に比べて、2〜3割安く取引される傾向にあり、買ったときより、高く売るチャンスはそう多くはない、ということも事実です。
一方、賃料は東京圏の住居系の場合はせいぜい小幅な変動で、急上昇も急下落もあまりなく、比較的安定しているという傾向があります。
加えて、都心に近くてシングル・カップルに人気のエリアのマンションなら、それを人に貸すことで手元に入ってくる毎月の家賃で、マンションのローン返済やその他の諸経費がまかなえるといったケースも結構あるはずです。したがって、人に貸しやすいマンションかどうかの判断が、シングル・カップルにとっては重要なことだと考えます。
では、貸しやすいマンション、しかも新築時の価格を維持しやすい(=価格下落率の低い)マンションの条件を5つ挙げてみましょう。
1.都心までのアクセスが良いところ
複数路線が使えて、乗車時間20分以内に都心のオフィス街へ行けるところ
2.便利で楽しく暮らせる施設が整っているところ
生活施設、教育施設、医療施設、スポーツ・娯楽施設、公園など、“遊・学・働・住”のバランスがうまくとれているところ
3.自然災害(地震・水害)の被害を受けにくいところ
最近では犯罪件数の少なさも重視されるようになってきました
4.シングル・カップルに人気のあるところ
住んでみたい街アンケートで、常に上位にランキングされるような街(吉祥寺、下北沢、自由が丘など)
5.できればブランド立地
元武家屋敷だった街、戦前に開発された住宅地(麻布・麹町・代官山など)
マンション評価ナビでは評価するマンションについて、1〜3の条件については5点満点で評価点をつけています。4については総評のなかの「買いやすさ、貸しやすさ、売りやすさ」でコメントしています。ご確認ください。
また、購入しようとしているマンションの販売担当者に、「一括借り上げ制度(※)があるかどうか」も併せて聞いておけば、万全といえるでしょう。(※賃料は相場の80%程度になりますが、空室保証をしてくれる制度です)
最後にアドバイスをもうひとつ。自分で貸しやすさ、売りやすさを確かめるには、自分が買おうとしているマンションの最寄り駅周辺にある不動産仲介店舗に行き、以下の項目について、質問してみることをお勧めします。接客中でなければ案外丁寧に教えてくれるものですよ。
●貸しやすさ、売りやすさ ヒアリングシート「不動産仲介店舗で質問しよう」
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質問事項 |
貸しやすさの判断のめやす |
貸しやすさ |
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自分が買いたい住戸と同じようなタイプの中古マンションの家賃相場はいくら? |
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自分が買う住戸と同じような住戸を借りる人はどんな人か? |
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また、そのタイプを借りたいという人は多いか・少ないか? |
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毎月の返済額+管理費・修繕積立金+固定資産税が、家賃相場と同じ、もしくは家賃のほうが高いようであれば貸しやすいといえる |
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自分が買う住戸の借り手が自分と同じようなプロフィールで、またそのような人の需要数が多ければ貸しやすいといえる |
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売りやすさ |
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自分が買う住戸と同じようなタイプの中古マンションの価格相場は? |
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自分が買う住戸と同じような中古マンションを買う人はどんな人か? |
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また買い手の数は多いか? |
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購入するマンションの価格×70%の価格に比べ、中古マンション価格が低い場合、資産価値を維持する力は期待できない |
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自分が買う住戸の買い手が自分と同じようなプロフィールで、また需要数が多ければ売りやすい |
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