10. ライフステージが異なれば、選ぶ基準の優先順位も変わる
これまで、マンションを選ぶ基準について述べてきましたが、シングル、DINKS、ファミリーといったライフステージが異なれば、優先順位も違ってきます。
以下の表をご覧ください。街、構造・躯体以外はシングルとファミリーでは優先順位は大きく異なります。
ところで、これまで、街選びやマンションの構造、間取りなどの選び方についても述べてきましたが、ライフステージが異なると、選び方がどう違ってくるかを改めて整理しておきましたので参考にしてください。特に、シングル、DINKS、ファミリーを問わず、最も重視すべきは街選びです。街選びのポイントについて、これまでのコラムでは書ききれなかったことを付け加えておきたいと思います。街選びには、妻の働き方、子どもの教育方針、生活の中心が仕事重視か私生活重視か、子どもの数で分かれます。
ライフステージ別 住まい選びで優先したい条件
優先事項 |
シングル・子育て意向のないDINKS |
ファミリー&子育て意向のあるDINKS |
街 |
1位 |
1位 |
構造・躯体 |
2位 |
2位 |
ゆとり・グレード感 |
4位 |
5位 |
日当たり |
7位 |
3位 |
間取り |
6位 |
4位 |
デザイン性 |
5位 |
6位 |
将来の貸しやすさ、 売りやすさ |
3位 |
7位 |
シングル&子育て意向のないDINKSの街選びのポイント
子どもがいないので、シングルの場合は自分の仕事やしたい暮らしに合わせて自由に街を選ぶことになります。DINKSの場合は妻の働き方や夫婦がしたい暮らしに合わせます。おすすめの街のタイプは、六本木・恵比寿などの繁華街、麻布十番・月島のような歴史ある下町、三軒茶屋・下北沢のような駅前商店街、代官山・小石川のような明治からの高級住宅街です。いずれも都心から乗車時間20分以内、最寄り駅から徒歩10分以内の街が理想的です。
子育て意向のあるDINKSの街選びのポイント
子どもができると自ずと生活の中心は仕事から私生活へと軸足が移ります。妻がフルタイム勤務で個性に合わせてハイレベルな教育を受けさせるというのであれば、麹町・本駒込のような江戸からのお屋敷街、大森・向島などの新しい下町がお勧めです。都心からの乗車時間は20分以内、最寄り駅からの徒歩時間は15分以内が目安です。出産後は、専業主婦かパートタイム勤務で子どもは自然の中で伸びのびという教育方針であれば、幕張、さいたま新都心のようなショッピングセンター付住宅地、たまプラーザや荻窪などの大正からの高級住宅地タイプの街がお勧めです。都心からの乗車時間30分以内、最寄り駅からの徒歩時間は15分以内が目安です。
ファミリーの街選びのポイント
子どもの数によって住める街が決まってきます。子ども1人に対して、子ども部屋を1つ与えるとなると、購入予算を増やさないのであれば、1部屋増えるごとに5分最寄り駅から遠ざかる必要があります。1人なら徒歩5分。2人なら徒歩10分というわけです。お勧めの街は、子育て意向のあるDINKSに合った街に加え、専業主婦・パート勤務の妻のいるファミリーは子どもが1人なら新百合ヶ丘・青葉台のような駅前住宅地タイプ、2人なら多摩ニュータウン・港北ニュータウンのようなマンション中心のニュータウン、3人なら守屋、ユーカリが丘のような一戸建て中心のニュータウンの街がお勧めです。都心からの乗車時間40分以内、最寄り駅からの徒歩時間は15分以内が目安です。自分にあった街選びができれば、マンション選びは8割がた成功したといえるでしょう。
シングル&子育て意向のないDINKSのマンション選びのポイント
結婚、出産など先の予定が見えないなかで、マンションを購入する場合、先々住み替えることを想定しておく必要があります。将来人に貸しやすいか売りやすいか、借りるより買ったほうがトクかどうか、といった経済性を重視することが優先されます。また、売りやすさ、貸しやすさからみてグレード感、デザイン性は高いほうが良いと思います。
しかし、40m2〜60m2の広さの間取りは自由度が低く、神経質に間取りをチェックしても残念ながらその甲斐がありません。日中留守が多いので日当たりの優先順位は下がります。それよりも、浴室の設備や寝室との位置関係など、帰宅後の快適さを重視するほうが現実的です。
子育て意向のあるDINKS&ファミリーのマンション選びのポイント
何より子育て中心の暮らしです。子育てに良いマンションかどうかという視点で優先順位は決まります。日当たり・通風・採光は健康で快適な子育て環境の基本でしょう。また間取りの使い勝手も家事のしやすさ、家族のコミュニケーションに大きく影響します。子育ては約18年間続きます。その間住み替えはよほどのことがない限り発生することはない、と考えるファミリーは多いでしょう。そこで、グレード感、デザイン性、貸しやすさ・売りやすさはシングルとは異なり、優先順位を落とすことになります。
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