6. 優先順位5位の基準 丈夫で長持ち、性能・品質が良いか
丈夫で長持ちするかどうか、性能・品質が良いかどうかは、構造で決まります。耐震偽装問題が発覚した後は、構造を気にするようになりましたが、間取りやインテリアに比べると地味かつ専門的な領域なので、チェックのしかたが分からないという方も多いようです。
実際、工事現場に張り付いて、現場監督よろしく逐一確かめる手段も知識もないわけですから、ある程度不動産会社や施工会社を信用することを前提とした上でのことになりますが、構造の良し悪しは、設計、建築両面で性能評価を取得しているかどうかが、最大のチェックポイントになります。
評価する性能は耐震性、火災対策、耐久性、メンテナンス、省エネルギー、シックハウス対策、光と窓の関係、音環境、高齢者等への配慮の9項目があります。以下に一部を示しますが、比較しやすいように等級を付けたり、具体的な数値で表示されます。さらに一般の人にも分かりやすいように、三菱地所のチェックアイズのように、住宅性能表示に規定されている9項目に、独自の項目を加えて品質・性能を確保し、そのことを専用のパンフレットを作成して、積極的に説明している不動産会社もあります。
一方、不動産会社によっては、モデルルーム見学時に性能評価設計取得、建築申請中(青田売りの場合)と説明はしてくれるものの、等級などの詳細については「重要事項説明時にお知らせします」と言って、その場では公開してくれないこともあります。重要事項説明は申し込み登録を済ませ、いよいよ契約という前の段階ですから、その時点で知らされても遅いように思います。不動産会社の対応を見れば、性能・品質面で信頼できるか出来ないかがある程度分かってしまいます。
●住宅性能表示の一部
項目 |
等級 |
構造の安全性 |
耐震(損傷防止) |
1
(建築基準法の1.0倍の強度) |
2
(建築基準法の1.25倍の強度) |
3
(建築基準法の1.5倍の強度) |
劣化の軽減 |
構造躯体等の劣化対策 |
1
(等級2未満) |
2
(構造躯体の耐用が50〜60年) |
3
(構造躯体の耐用が75〜90年) |
維持管理への配慮 |
共用配管 |
1
(等級2未満) |
2
(コンクリートへ埋め込まない) |
3
(点検口や清掃口を設置) |
性能評価以外でさらに押さえておきたいことが2点あります。
まず1点目は地震対策のための特殊な構造です。地盤の悪い立地に建つマンション、超高層マンションなどでは、以下の3つの構造が採用される場合があります。
ただし、建築コストが3〜5%アップすると言われ、大規模なマンションや高額物件など、ごく一部のマンションにしか採用されないというのが実態です。
構造の種類
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特色
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耐震構造 |
地震のゆれをしっかり受け止められるよう柱・梁を太くし、壁を厚くし、建物を頑丈にする。 |
制震構造 |
見た目は耐震構造と変わらないが、梁・壁などの構造部分に地震のエネルギーを吸収する装置・ダンパーを組み込みゆれを小さくおさえる。 |
免震構造 |
建物基礎と建物、または建物の中間にゆれを小さくする効果のある積層ゴムなどを設置し、地震エネルギーを吸収し、ゆれを小さくする。 |
2点目は耐久性の対策として見逃せない、外壁の仕上げです。タイル貼りであれば雨水等の浸水による鉄筋・コンクリートの劣化が防止されますが、吹きつけの場合はメンテナンスを怠ると劣化が進みます。タイル貼りのほうが安心といえるでしょう。
高いお金を払って買うマンションです。丈夫で長持ち、品質・性能が良いというのは基本中の基本といえる選択基準です。このことを念頭に、安心できるマンション選びをしましょう。
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