■ケース3)30代リッチシングル
プロフィール/35歳・正社員・年収800万円以上
資金計画/物件価格4800〜5000万円・頭金800万〜1000万円・住宅ローン4000万
年収が800万円以上など高めであるとはいえ、今後ライフステージが変わる可能性が高いという点では、ケース1・2のシングルと同じです。住宅ローンの選び方も、家計に占めるシェアの高い住宅ローンの返済額を固定させるのが安全です。
とはいえ、年収が高いシングルの場合は、「リスク許容度」が高いことが大きなポイント。リスク許容度とは、将来金利が上昇して毎月の返済額がアップしたり、収入や支出の変動で家計の状況が変わったりするリクスに対して、対応が可能かどうかということです。年収が高ければ、貯蓄ができたり支出を抑える余地があったりして、家計がやりくりしやすいと考えられます。つまり、「返済余力」が高いので、安全性ばかりを重視しなくてもよいということです。
■資金プラン1: 全期間固定と短期固定をミックスさせ、安全性と低金利を生かしたプラン
|
借 入 額 |
返済期間 |
金 利 |
毎月返済額 |
固定金利期間20年超 (全期間) |
2000万円 |
25年 |
3.038% |
9万5238円 |
固定金利期間3年 |
2000万円 |
25年 |
2.114% |
8万5885円 |
|
4000万円 |
− |
− |
18万1123円 |
※ソニー銀行の部分固定金利特約を利用した優遇後金利の場合(平成20年7月金利)で試算
そこで、住宅ローンは安全第一の全期間固定型だけでなく、金利上昇リスクはあるものの低金利のメリットを生かせる固定期間選択型の2年〜5年など短期間のものや変動型とをミックスさせるプランが考えられます。金利が低いほど利息が少なくて済むだけでなく、早く元金を減らせるメリットがあります。資金プラン1のように、住宅ローンを4000万円借りる場合、全期間金利を固定できるタイプと低金利な固定金利期間3年のタイプとに半分ずつ分ければ、安全性が確保される一方で、残りの半分で低金利のメリットを生かすことができます。
ミックスプランは、同一銀行の2つのローンを組み合わせるだけでなく、全期間固定型のフラット35と提携先の銀行の低金利なローンを組み合わせる方法もあります。別々のローンを組み合わせることになるので、手数料などの諸費用がローンごとにかかりますが、返済期間をそれぞれに設定できるので、低金利な銀行ローンのほうを短めに組んでおけば、より早く元金を減らすことができます。
■資金プラン2: 当初10年の低金利を優先したプラン
|
借 入 額 |
返済期間 |
金 利 |
毎月返済額 |
固定金利選択(10年) |
4000万円 |
25年 |
2.30% |
17万5444円 |
※みずほ銀行の当初金利優遇プラン(平成20年6月金利)で試算
もう一つのプランは、不確定な先々のリスクよりも、借り入れ当初の10年間の低金利メリットを優先させた資金プランです。10年間で元金をできるだけ減らし、11年目以降金利が上昇する際には、その時点の状況を見ながら住宅ローンの選択を検討するという考え方です。10年以上固定できて相対的に低金利なローンがあるがどうかがポイントになります。ここでは、当初1.7%優遇するみずほ銀行の10年タイプで試算しました。
いずれのプランの場合も、借りっ放しではなく、環境の変化に応じて適宜住宅ローンの見直しをする必要があることに留意してください。また、ミックス型の場合の割り振り(4000万円のうちいくらずつ割り当てるか)は、各自の返済余力に応じて変えてください。低金利なローンの選択についても、実際にローンを借りる際に最も有利なローンは、変動型か2年、3年、5年、7年、10年のどれかなど、それぞれの状況に応じて検討しましょう。
●優遇金利にもいろいろなタイプがある
住宅ローンを選ぶ際に、優遇金利を上手に活用するといいでしょう。今は多くの金融機関で、期間限定で一定の条件をクリアした場合に適用される優遇金利が設定されています。実はこの優遇金利には、いろいろな種類があるのです。比較的多いのが、全期間で一律(1.0%など)店頭金利から優遇するタイプと、当初の固定期間だけ大幅に優遇するタイプ(それ以降も0.4%などの優遇あり)。一般的には全期間一律優遇するタイプのほうが、リスクが少ないと考えられますが、資金プラン2では当初10年間1.7%優遇する後者のタイプを選びました。
優遇金利のキャンペーンは延長されることもあれば、新たなキャンペーンが登場することもあります。常に最新情報を得るようにしてください。また、自分が優遇金利の適用されるのか、あらかじめ金融機関に確認しておきましょう。
|