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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.28 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

「金とコーポラティブハウス」

(株)アーキネット代表 織山 和久

(1)お金で買えない価値

 「プライスレス」という言葉があるように、世の中にはお金では買えない価値のモノやコトが存在します。それらを大別すると以下の三つに分けられます。

1 自分自身に向かうもの。

誕生日の思い出。お祝いのケーキやろうそくの炎が嬉しい。

例えば、美味しいイワナの塩焼きはお金でも買えますが、美味しいという「自分ならではの感覚」は売りも買いもできません。
子どもの頃の楽しかったお誕生日の思い出や一仕事終えた後の達成感。頑張って上達した英語、トマト栽培の知識や経験など、決してお金では買えないものです。
このように自分自身の感覚や記憶、趣味・教養・健康といった自分のための能力、信条などは、いわば自分そのもので、自分から切り離して売り買いの対象にすることができないわけです。

2 同等に関わるもの。

すぐに思いつくのは、男女の愛です。もしお金で買えば、愛とは言えない別のものに変質します。「金を貸せば友を失う」と言われるように、仲間同士の友情もお金の貸し借りがあるとぎくしゃくしがちです。家族の情愛、趣味や近所のつきあいなども同様でしょう。
売買では売主と買主、貸借では貸主と借主、雇用では雇用者と被雇用者、と金銭取引が伴う関係は立場が相補的になります。一方、愛情や友情などでは、立場は両者とも同等・対称的ですから、貨幣交換とは相容れないことが分かります。

3 秩序全体に関わるもの。

例えば、自然環境。ミヤコタナゴやヤンバルクイナの生息地一帯を生態系ごと保全しようとすると、途方もないお金が必要になり、事実上無理なお話です。人口環境、つまり都市や景観も同様です。また、渋滞でも自分だけ路肩走行できる交通規則など、社会のルールや慣習を思い通りにするのはいくらお金があっても実行することは出来ません。このように複雑に絡み合った秩序全体をいくら大金があろうと、思いのままにすることなど出来るものではないのです。

(2)時を重ねて深まる

 お金では買えない大事なモノやコトには、「時を重ねて深まる」という共通点があります。そこには脳神経網や人間関係、社会関係資本、と大きさは様々ですが、ネットワークがあり、時間と共にネットワークが分岐・接合しながら成長するためです。

1 自己の深まり。

昔の本を読み返すと、若い頃には気づかなかった意味合いや微妙な味わいを読み取ることがあることかと思います。それは年月を経て、さまざまな刺激を受けながら脳神経網が発達し、昔に比べるとものの見方や感じ方が深まったということに他なりません。
若い頃は、何もない平凡な一日は退屈だったかも知れませんが、何事もなく一日を過ごせることの有難みを感じられるようになるのも、脳神経網が繊細に複雑に発達しおかげで、外界からの強烈な刺激が無くても脳内の自己刺激でそれに相当して活性化するからなのでしょう。

2 関係の深まり。

最初のころは、おずおずと言葉を交わすぐらいの関係から始まり、週に数時間一緒に過ごすだけで楽しい、と感じて関係は進んでいきます。言葉のやり取りだけでなく、一緒に経験する出来事や時間が増すに従って、「こう言えば、こう思うだろうな」とお互いの感じ方や考え方への理解も深まり、そのうちにまるで合わせ鏡でも見ているかのような感覚になります。
喜びや苦労を共にして、お互いの関係は様々な経路で多層に結びついていきます。恋人同士、家族同士、仲間同士、と人間関係のネットワークが深くなっていくにつれ、自分自身もそのネットワークの一部としてより深まっていくことでしょう。

3 社会性の深まり。

都市景観といった社会秩序も、時と共に深まります。

京都祇園の街並み。石畳に二層の町家が連続して独特の風情を生む。

江戸時代。家の間口の幅に応じて課税されたため、節税対策として京都の市街には間口が狭く奥行の長い建物が一般的になりました。その際、統一性を重んじるため、京都所司代は軒線先を揃える、三階蔵や表蔵など凸凹をなくす、と御触書を定めます。町人たちは、建物の外形に制約を受けたため、虫籠窓の様式に趣向を凝らします。こうして統一感がありつつ微妙に異なる京都の町屋の連なりが誕生しました。坪庭を設けると、町家の上空に風が吹いた場合に気圧差が生まれ、内部に風が通ります。そうなると高い建物が上空の風を止めないように、街全体を二層の町家で揃えることが不文律になります。このようにルールとその対応とがネットワークのように、時を経ながら相互に発達するうちに、より深い魅力溢れる秩序へと変化していきます。

(3)生きるということ

 わたしたちはコーポラティブハウスがお金では買えない大事なモノやコトを育み、それらが時を重ねて深まることを大切に考えています。豊かに生きるということは、そんな積み重ねなのだと思います。

1 自分の居場所がある。

お気に入りの場所。仕事に集中した後、窓際のベンチで寛ぐ。

コーポラティブハウスでは、どの場所も風通しや採光、眺めのいい空間にする、体に馴染む寸法感覚を大事にする、暮らし方に合った間取りや内装にする、といった基本的なことが適えられます。それらは、お暮らしになるご自分にとって居心地のいい場所をつくる、ということに至ります。お仕着せの空間では、何畳の広さでも高級な仕様でも、自分の場所という感覚は沸きにくいでしょう。そして「自分の居場所がある」ということが自分自身を保つために、どれほど大事であるかは言うまでもありません。自分自身に向かう感覚、例えば、穏やかに差し込む朝日に心地よく目覚めて散歩に誘われる気分、室内を緩やかに亘る微風の爽やかさ、静かに黄昏の映る窓に思う一日の安息の心持ち、などお金には換えらないことばかりです。また自宅で趣味に没頭する、スキルアップに励む、というのも自分の居場所があればこそ出来ることです。

2 一緒に暮らす。

間取りのご相談では、「子どもが小さいうちは、広い場所で一緒になって暮らしたい」「夫婦や親子で、お互いに気配を感じられる住まいにしたい」といったご希望をよく伺います。○LDKのように個室で分断されていると、なかなか実現しにくいご希望です。我々のコーポラティブハウスでは、夫婦や親子の関係を空間で制約することの無い連続性のある空間を用意しており、それぞれの家族の形にふさわしい空間をつくることができます。

段々状に連続する室内の下方に、子どもが集う場所がある。
工場や倉庫、マンションが雑然と並ぶ街並みに、清々しいリズムが与えられる。

「おはよう」「おかえり」といった挨拶を何気なく交わす、宿題に頑張る様子を見守る、(例え喧嘩の後でも)気配を感じて調子が悪そうならちょっと声をかける、そんな日常のやり取りがし易い空間で暮らせば、お互いの関係性はますます深まることでしょう。ご家族では無いご入居者同士の気の置けない間柄も同様のことが言えるでしょう。

3 街をつくる。

周辺環境を読み込み、その場所ならではの設計を工夫した建築には、街並みを引き立てる力があります。一帯の風の通り道を導く、樹木や見晴らし、日照条件を生かす、規模や量感を体に馴染む寸法感覚にする、見る・見られるのほどよい緊張関係をとりこむ、といった工夫は、室内を豊かにすると共に都市景観をも豊かにします。もともと集合住宅ですので、全体の建物は個人の好みではなく半公共的な立場から設計されます。そして周辺の建物が建て替わるときにも、このコーポラティブハウスがデザイン上の手がかりになって、街並みに統一感が生まれていきます。一戸建てでは代替わりの際に取り壊されることが多いのですが、コーポラティブハウスは鉄筋コンクリート造で耐久性も高く集合住宅でもあって、50年、100年とその姿を残して街並みをつくっていきます。 こうした徐々につくられていく街並みを尊重して建築協定を定めるに至れば、ひとりひとりの住宅選びが幾世代先の都市環境をつくる、という社会的な意義まで持ち得ます。 自分たちが暮らした証しが魅力的な街づくりへと引き継がれる―それは決してお金で買えるものではないのです。

筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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