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マンションの注文建築「コーポラティブハウス」vol.7 


都心・安い・自分仕様
コーポラティブハウスの魅力

「気になる入居後、コーポラティブが管理運営に強いワケ」

(株)アーキネット代表 織山 和久

(ア) 合意形成が容易

 少人数のコーポラティブハウスでは、管理組合も運営しやすくなります。建てるときからの顔馴染みでもあり、少人数ですから大きな集会所でなく理事のお宅のダイニングに皆で集まり、お茶しながら打ち合わせ、という雰囲気です。台風で樹木が傷ついた、といった場合も立ち話しているうちに、買い物帰りのお宅も加わってたちまち対策もまとまる、といった具合です。
 管理組合は、理事と監事ですから、数年に一度は役目が回ってきます。大規模マンションに比べて役目を負う回数は多くなりますが、所有者の現住所確認だ、事務連絡だ、理事会での準備会合だ、反対派閥への根回しだ、といった手間隙や気苦労もあまりかからないので、負担はそれほどでもありません。順番に回ってくるのでお互い公平ですし、一部の理事が積立金を流用したり管理会社からバックマージンをもらう、といった事態も自ずから防がれます。
 少人数の組合は、将来の大規模修繕や建て替えにも有利です。前にも触れた話ですが、建て替えコンサルタントによると、50人に1人は「何でも反対」の人がいるそうです。個々の要望や資金状況も異なる中で、いまの区分所有法では実質は全員合意でないと大規模修繕や建て替えに至りません。「何でも反対」の人が大規模な200戸のマンションにいない確率は、(49/50)200=約1.7%。将来、大規模に手を入れると合意するのは、期待できません。これが10戸で仮に長い年月の間に転売が進んでも、81.7%。ずっとまとまりやすいでしょう。

(イ) 管理サービスはバラで

 都内の高級マンションの管理費を調べると、なかなか驚かされます。「管理形態区分所有者全員により管理組合を結成し、管理会社に委託予定。管理費(月額)45,500円・53,300円・62,500円」となります。管理会社はだいたいは分譲マンション会社の系列会社で、管理サービスの中身や金額は、特に管理組合で動かなければこのままになってしまいます。「面倒だから金で片付くならいいや」と太っ腹な方ばかりなので、これでいいのでしょうか。

管理サービスの見積もり事例。項目と頻度がはっきり示され、管理組合も選択しやすい

 コーポラティブハウスの場合は、管理サービスはバラで選べます。入居前から、自分たちで管理会社や管理サービスを比較し、実情に合わせて決められる機会があるためです。管理会社からメニューごとに見積もり(右は6戸の例)を出してもらい、住宅地で車の排気ガスもないからガラス清掃は不要、日常清掃はたいした範囲でないから月1回、といった具合に管理サービスを取捨選択します。管理組合の事務は、総会の連絡、管理費の徴収、領収書の整理、帳簿づくりといった作業ですが、コーポラティブハウスでは皆で銀行口座に定額自動送金の手続きをすれば、あとは大した手間ではないので自前でやります。後でメニューを追加・変更することもできます。こんな具合で必要に応じてサービスを絞り込めるので、結果的に管理費は各戸約5000円という水準になることも珍しくありません。

内と外を緩やかにつなぐアプローチ。雰囲気もいい上に、植栽の手入れや通路の清掃にあまり手間もかからない

(ウ) 無用な共用部を省く

 専門家でないと手の入れられない植栽、ピカピカにしないと汚れの目立ちやすいエントランス、掃除の手が届かないアトリウム、枯れ葉の詰まる噴水、将来の剥落。補修が心配な高級外壁タイル…。マンションの外観イメージでは目を引きますし、最初のうちは上質感も新鮮です。しかし、放っておくとみすぼらしくもなるので、のちのちの管理・修繕に大変な負担が続きます。見栄えの裏にある問題です。
 コーポラティブハウスの場合は、こうした共用部を決める段階からご入居者が関わるので、売らんがための見栄えも不要ですし、自分たちで手入れがしやすいように建てていくことができます。例えば、樹木も剪定の手間が省けるのでヤマボウシ・サルスベリを植える、といった具合です。このようにして無駄な共用部もなくなるので、そこに係る管理・修繕費用もいらなくなります。

(エ) 天然のセキュリティ

空き巣狙いへの聞き取り調査。防犯用品よりもちょっとした声かけが犯行を予防する

 住宅対象の侵入盗のうち、留守の住宅に侵入する「空き巣狙い」は77%、家の人の就寝中に侵入する「忍び込み」が18%、家の人が食事その他所用中の際に侵入する「居空き」5%です。この「空き巣狙い」の被疑者に警察庁が聞き取り調査したところ。大部分の犯罪者は、侵入盗を実際にやろうとしてあきらめた経験があり、犯行をあきらめた理由として、「近所の人に声をかけられたり、ジロジロ見られた」というのが63%になります。と大勢です。一番目の理由としても、47%を占めています。実際にマンションで泥棒に入られた後に、防犯対策として警察から言われたのは「ご近所同士で仲良くすることです」という話でした。
 マンションの場合、オートロックでも、後を付いていけばわけなく泥棒も入れます。入っても隣近所で付き合いがなければ、極端な話、隣の旦那さんの顔も知らない、となって、不審者がいてもそうとは分からないことが多いでしょう。実際、11階以上の高層階の侵入について見ると、階段やエレベーターを使ったものが90%、玄関からの侵入が70%近くを占めています。
 その点、戸数の少ないコーポラティブハウスであれば、住民同士はお互いを知っています。建物や配置自体、外の人はどこからか見られているようで入りづらくなっています。そしてもし不審者が入っても、中の人々にはすぐに見分けもついて「どちらさまですか?」と声もかけられます。このように考えると、コーポラティブハウスにおける近隣関係は、天然のセキュリティになることが分かります。もちろん、その上に各戸で機械式警備を依頼してもいいでしょう。

筆者プロフィール
株式会社アーキネット代表。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。著書に「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

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